「家庭と仕事の二刀流」という時代の要請
2025年4月、大谷翔平選手に第一子となる女児が誕生した。記者から「これからは家庭と仕事の二刀流ですね」と声を掛けられた大谷選手は、人懐こい笑顔で大きくうなずいたという。
VUCA時代、中小企業の経営者も同じ二刀流に挑まざるを得ない。売上・資金繰り・人材確保といった経営課題と、家族・健康・自己成長という個人課題は、本来切り離せない。しかし多忙な日常では視野が狭まり、どうしても短期的な対応に終始しがちだ。
マンダラチャートは、この「人生計画×経営計画」を一枚に統合するための思考ツールである。大谷翔平選手の計画力と実行力を例に、その可能性を探っていきたい。
Real Case — Hanamaki Higashi High School二人が書いたマンダラチャート
花巻東高校・佐々木洋監督のもとで導入されたマンダラチャート。同じ高校で同じ手法を使った二人の球児が、それぞれどんな目標を書いたか——その違いに、「超一流の基準設定」の核心がある。
中心目標:「ドラフト1位・8球団から指名される」
「雄星ノート」と連動した内省・分析型の活用で知られる
ベンチマークから「超越」へ
大谷選手が傑出している理由のひとつは、「先行者を基準にしながら、その基準を非連続に超えた」点にある。菊池選手は大谷の3年先輩。菊池がドラフトで6球団から指名を受けた実績を踏まえ、大谷は「ドラフト1位・8球団」という目標を設定した。
これは単なる模倣ではない。マンダラ思考の「継続改革の原則」——既存の業界基準を新たな野心の触媒とし、目標を飛躍的に高める思考法だ。大谷選手はWBC決勝前にこう言っている。「憧れるのをやめましょう」
| 比較項目 | 菊池雄星(先行者) | 大谷翔平(超越) |
|---|---|---|
| 中心目標 | 高卒でドジャース入団 | ドラ1・8球団指名 |
| 球速目標 | MAX 155 km/h | スピード 160 km/h |
| 表現スタイル | 説明的な表現が多い | 本質を突く簡潔な表現 |
| 活用方法 | 雄星ノートと連動した内省型 | 3年間で16枚書き換えた動的運用 |
経営者も同様に、競合他社の基準を「追いつく目標」ではなく、「次の基準を設定するための触媒」として活用することで、フォロワーの立ち位置から脱却できる。
Backcasting18歳が「引退」まで描いた構想力
大谷選手が18歳の時に作成した人生設計シートは、マンダラ思考の「あるべき姿の原則」——未来のゴールから逆算して現在を設計するバックキャスティング思考——の実践例として極めて興味深い。
注目すべきは、38歳での成績不振・引退を考え始める場面、39歳での引退決意、40歳での引退試合まで、栄光と挫折の両方を18歳の段階で書き込んでいたことだ。さらに引退後の社会貢献(41歳日本帰国、日本にアメリカのシステムを導入)まで見据えており、「人生全体の設計図」として機能している。
「計画なくして、豊かな人生なし」
「人生計画のない人生は、航路図のない航海と同じ」
「計画なくして経営なし」
マンダラチャートは、創業者・松村寧雄が45年前に体系化して以来、多くの経営者・スポーツコーチ・教育関係者に浸透し、ついには大谷翔平選手へと繋がった実績ある手法だ。
自社のマンダラチャートを描き、そして——マウンドとバッターボックスの両方に立って、家族と経営の二刀流を体現してほしい。